「先生、急に閉院します」
そんな張り紙がクリニックのドアに貼られていたら、あなたはどうしますか?
実はこれ、じわじわと現実になっている話で、。2025年度、病院・クリニック・歯科医院の倒産件数が過去20年で最多の71件に達したことが、東京商工リサーチの調査で明らかになりました。
「自分には関係ない」と思いたいのですが、毎月通っている歯医者、持病で世話になっているかかりつけ医、子どもを診てもらっている小児科などどれも「いつなくなるかわからない時代」に入っているんです。

何が起きているのか?数字で見る「医療機関倒産」の実態
2025年度に倒産した医療機関(病院・クリニック・歯科医院の合計)は71件で、前年度から約20%増加し、2006年度以降の20年間で最多を記録。
特に深刻なのが歯科医院で、歯科医院の倒産は31件と前年度の20件から1.5倍に膨らみ、20年間で最多となっています。
さらに気になるのが「再建できずに破産」という結末の多さで、破産が全体の97.1%に達しており、経営が苦しくなった医療機関は再建が難しい状況にあります。
つまり、一度閉院が決まったら、そのクリニックが戻ってくることはほぼない、ということなんです。
なぜクリニックや歯医者が潰れているのか?
コロナが明けて景気が回復したのでは?と思う人も多いかもしれませんが、でも医療機関の経営は、一般の企業とは違う理由で苦しくなっています。
理由① 患者が減っている
倒産の最多原因は「販売不振(患者数の減少)」で全体の66%を占めていて、人口減少が進む地方では特に深刻で、近所に住む人が減れば、通院する人も減っていくわけで、都市部でも、競合クリニックが増えすぎ患者が分散しているケースがあります。
理由② コストが爆上がりしているのに収入が増えない
光熱費・人件費・医療備品のコストが上昇しているにもかかわらず、診療報酬(保険で決まる医療費の単価)とのバランスが崩れ、採算が悪化しています。
わかりやすく言うと、スーパーで食材が2倍に値上がりしたのに、お弁当の値段は国が決めていて変えられない・・・そんな状態なのです。
理由③ 院長の高齢化と後継者不足
医療機関は経営者の高齢化や人手不足、設備の老朽化といった問題も抱えていて、個人経営のクリニックは、院長が高齢になっても後を継ぐ医師が見つからず、そのまま廃業・倒産というケースが増えています。
患者である私たちへの影響は?
「先生が高齢で引退するのは仕方ない」と思うかもしれませんが、問題は準備なく突然閉まることで、たとえばこんな状況が現実に起きているんです。
- 慢性疾患(高血圧・糖尿病など)で毎月薬をもらっていたクリニックが突然閉院 → 処方箋をもらえる医院を一から探す羽目に
- 矯正治療の途中で歯科医院が倒産 → 治療が中断、支払い済みのお金も返ってこないことも
- 地方の過疎地で唯一の診療所が閉院 → 車で30分以上かけないと病院にたどり着けない
医療機関の倒産は患者の受診機会の喪失につながり、高齢化が進む地方ほどその影響が大きくなります。
今すぐできる「医療難民にならない」ための行動
1. かかりつけ医を「1か所に絞らない」
メインのかかりつけ医のほかに、近隣の別のクリニックも把握しておきましょう。万が一の時に「次どこに行けばいい?」が即答できる状態にしておくことが大切です。
2. お薬手帳・治療記録を自分でも管理する
服用中の薬の名前・用量を記録しておきましょう。クリニックが急に閉まると、紹介状もカルテも手に入らないことがあります。スマホの写真でも構いません。処方箋の写真を撮っておくだけで、次の病院にスムーズに引き継げます。
3. 治療中の歯医者が急に閉院したら「都道府県歯科医師会」に相談
矯正治療など長期にわたる治療を受けている場合、閉院後の対応窓口として各都道府県の歯科医師会が相談を受け付けています。泣き寝入りしないためにも、連絡先を事前に覚えておくと安心です。
4. 地方在住の方は「医療機関マップ」を確認しておく
厚生労働省の「病院・診療所の検索」サービスや、各自治体の医療機関マップで、自宅から通える範囲の医療機関を複数チェックしておきましょう。「ここしか行けない」という状況を作らないことが重要です。
5. 長期前払いの治療には注意する
一部の審美歯科や自由診療では、治療費を一括で前払いするケースがあります。閉院されると返金が難しくなることもあるため、高額な前払いをする際は院の経営状況も含めて慎重に判断しましょう。
「医療機関が倒産している」と聞いても、ピンとこない人がほとんどだと思います。
でも実際は、クリニックも歯科医院も、どちらも過去20年で最多の倒産件数を記録しており、この流れはしばらく続くと見られています。
医療は「あって当たり前」ではなくなりつつある時代です。少しの準備が、いざというときの大きな安心につながります。





